2015.06.16 (Tue)
中国を危機に陥れるロボット革命

―New York Times―
過去十年間、中国はあらゆる産業において山のように低賃金労働者を雇い上げ、世界中の労働者の仕事を喰らい尽くしました。その中国が、これまでGDPを押し上げてきた労働者を次々とロボットに置き換えはじめています。
ニューヨークタイムズの記事です。
2014年、中国国内の工場に設置されたロボットの数は、全世界の産業用ロボットのおよそ4分の1を占めるまでになりました。これは前年と比べてじつに54%の増加です。IFR(国際ロボット連盟)によると、中国は2017年までに日本や米国を抜いて、世界で最も多くのロボットによる生産ラインを保有する国となるといいます。
たとえば、広東省に本社を置く家電メーカー「美的集団」は、年末までに家庭用エアコンの生産ラインの労働者6,000人をロボットに置き換える予定で、これはライン要員の20%にあたります。アップルに部品を提供している富士康科技集団(Foxconn)は、3年以内に全工程の70%を自動化する予定で、成都ではすでにロボットが全工程に携わる工場が稼働をはじめました。
このような傾向はこれからますます加速されるかもしれません。中国の工場ではたらく労働者は米国やその他の先進国よりもはるかに早いペースで職を奪われつつあります。そしてそれは輸出主導から内需主導へと経済の枠組みを変えようとしている中国政府の思惑を妨げることにもつながるでしょう。
長年にわたり中国経済は外需に頼ってきました。一方で内需が占める割合は不動産やインフラ投資を含めても3分の1程度でした。内需が脆弱な経済は持続可能な成長はもたらしません。工場で生産された製品は市場で売られ、利益を上げねばならず、建てられた住宅はそこに居住する人々を必要とし、サービス業はそれを利用し消費する客を要とします。しかしこれまでよりもパイがはるかに大きくなった分、消費もレベルに合わせて拡大しなければならないというのは困難な課題でもあります。
中国の指導部は、国内需要を増やそうとここ数年、努力をしましたが進展はほとんどありません。これは経済規模に比べて家計所得があまりに低いということがあります。もうひとつは驚異的な貯蓄率の高さです。平均的な中国人の家庭は所得の40%に達します。これは資本主義経済への転換によって多くのセーフティネットが消滅したことも理由のひとつです。現役を退いた後に病院代などの負担が大きくなることへの恐れもあります。
答えは明らかです。政府が国内消費を増やすには、国民所得をさらに引き上げて貯蓄率を減らさなければなりません。ところがそれを難しくしているのがロボットでもあるわけです。
これまで先進国は、製造業をベースに中流階級をしっかりと育てその後にサービス経済へと移行するというのが手順でした。米国がまずこうした道を歩み、日本や韓国などの国がこれに続きました。テクノロジーが今よりはるかに劣っていた時代では教科書通りのやり方がいくらでも通用しました。しかし中国はそうした移行をオートメーションの発達したロボット時代になさねばならなかったのです。
1995年から2002年までの間に工場においておよそ1600万人分の作業がロボットに置き換えられました。これは中国国内の製造職の15%にあたります。時間がたつにつれ、こうした傾向はますます加速されるでしょう。
たとえば中国経済がホワイトカラーの雇用を充分に創出することが出来れば、問題はなくなります。しかし現実は増え続けている大卒者が希望した仕事を得るのが年々難しくなりつつあります。
2013年の統計によると、その前年の卒業生の20%以上が就職できず、その影響で卒業生の半分が仕事を見つけられないという異常な事態に陥りました。また就職してもその43%が学力には見合わない低水準の会社に就職したと考えているといいます。
ロボット化は主に若年層の雇用を奪っています。格差はますます拡がり若年層の不満が政情不安につながりかねないことを政府は懸念しています。医療保険を強化し年金や失業保険を増やすことで貯蓄率を下げることも可能でしょう。また米国の勤労所得税額控除と似たようなプログラムを立ち上げることも考えられます。しかしロボット化が加速している現状では、こうした直接的な支援策も長期的には功を奏さない可能性も高まっています。
あまりにも早いロボット化が、国の経済基盤を揺るがしはじめている中国で、これまで国民の政治的な不満を驚異的な経済成長に振り向けてきた共産党が、今後の雇用の減少と国内の消費の不振から低成長に陥る事態を解決する手だてを見つけられなかった場合、大いなる難問を突きつけられることになるかもしれません。
Tags : Politics |
数十年前、中国に自動化機械(自動機、省力化機械)を輸出していましたが、当時、
省力化機械という表現が中国からは避けられました。人は余るほどいるので、減員
になるような機械はいらないと言われ、生産効率を上げる自動機はOKとのこと。
こちらにしてみれば同じものなのですが、書き方だけ変えて売ったものです。
ただ、当時は対共産圏輸出統制委員会 (略称:COCOM ココム)の規制が厳しく、
中国が欲しくても輸出できない設備も多かった。
完全自動化が難しいのは市場が飽和して同じ製品では売れなくなると少量多品種の生産が必要になるからで。ロボットも相当汎用化が進んではいるが、汎用化が進めば進むほど専用機に比べて生産効率が下がるというジレンマを抱えだす。数量によってはヒトが頑張ったほうが安くなる分界点が出てくる。
だから中国が先進国としての熟成を進めるならその過程で自動化の限界を見ることになるだろう。
結局安いヒトというか形の労働力が必要になる。
たぶん、Foxconnあたりも自動化はしてみたが、実は生産品質の安定と生産期間(iphoneなら1年毎に変更)の問題に苦しんで、結局は人海戦術に戻るんじゃないかと思う。
日本の企業がそうだったし、その対応のための中国やベトナムなんかでの生産が進んだという部分もあると思う。ヒトの改善能力ってうまく働けばすごいから。
ロボットアームの多軸化が汎用化への道という部分があるから、究極は人の形をした汎用ヒト型作業用機械(レイバーじゃなくて等身大のモノ)が人並みの判断力を持って動く時代が来ないと無人工場の夢は達せない。
ココを狙ってるのがグーグルで。DARPAあたりの資金でロボットのボディを開発しつつ、膨大な数のスマホから収集したデータでAIの開発を進めている。
appleもSiriでやってるけどグーグルの方がもっと目的が明確かもしれない。完全な人工知能があれば、ロボットの形状がどうあれ汎用化は進む。
言い方は非常に悪いんだが。
知的発達に問題を抱えた労働者と身体的な問題を抱えた労働者では身体的な問題のほうがいろいろな仕事に対応が出来る。
グーグルの目指しているヒトと同じ反応を返す人工知能が完成すれば、ネットワークの先にある端末が音声の入出力だけだったとしてもそれなりの仕事をこなしてくれるようになるだろう。
クラウド型の端末(いまはスマホ)とデータの集積で進化する人工知能の組み合わせがこの次の産業革命を進めるのは明白なのだけど、日本はこの分野で全然手がついていない。本当の意味でのクラウドビジネスがない。
人型ロボットではASIMOあたりまで世界をリードしていた日本だけれども、先般DARPAのやったロポットの競技会では惨敗。1位は韓国だったという。
準備不足という側面はあるが、これもロボットのボディは作れて、スタンドアロンの歩行制御なんかのからくり人形の延長上にある部分は作れたものの、人工知能部分が進まなかったが故の失敗という側面があるのだと思う。
ま、早くなんとかしないとグーグルのアンドロイドが山のように販売されて、日本はボディ位のみしか生産できない、スマホと同じ悪夢がまたやってくるかもしれない。そこは日本人の能力に合わないからグーグルと組むというのも手だけどね。
ただ、ここ十数年のスパンで見た場合、労働単価が安いということで日本の製造業界が、中国からベトナム、ミャンマー、バングラデシュへとシフトしつつあるトレンドを考え直す時期には来ているのかもしれません。現状、より安い労働単価を求める投資がはたしてこの先見合うのだろうかと。
生産ラインがロボットに占められるならば、その割合が高い先進国に投資が集まり、新興国はますます窮する可能性も否定はできません。
大手銀行は、FRBの利上げは織込み済みとして、新興国への投資を勧めていますが、それに惑わされない知識も必要かと存じます。
人工知能化が進むと地球が滅ぶってアインシュタインか誰か言ってなかった?
日本のマネしてとりあえず、設備投資であげようってことじゃないの。
【中国青年群像】
愛国心の響きに陶酔し、反日デモに行きまくり。ある日、出社すると自分の代わりにロボットが働いていた。 アイヤー!
攻殻機動隊みたいな画でアニメ化してほしいよ。
そのうち市場としての価値も出てきた。そして労働者の欲も高まり労働単価が上がった。
また、東南アジアのほうが労働単価では魅力が高まった。しかも環境としても安全。
「いい物を安く」の大原則には、例外となる要素も大きな要素であることを、中国から
撤退した企業は身をもって経験した。技術立国日本国内の空洞化を考えるのは政府。
企業は生き残るのに必至。まあ、一般論はさておき、国内での製造、MADE IN JAPANを
増やしたいねー。
「人海戦術」はこの書き方です。今でも話すし書くし、特に、将来の中国の脅威を語るのに
重要なワードですね。
物作りが自動化され、太った人間が楽しくくつろぐシーンが描かれた映画がありますね。
私は、工業よりも農業の行く末が心配です。性産業は心配していません。
そもそもグローバル企業にとって国という枠組みは関係ありません。ただ、全体コストが安い所で作るというだけです。
例え日本で究極のロボット化の成功モデルができてもいずれ物流コストを考えて中国にもそれを展開していくだけの話です。
但し、ロボット化による労働者(=消費者)の貧困化をどう克服するのか、という発想は企業にありません。
韓国のように財閥に属する一部の富裕層だけでは市場として魅力がありませんが、ロボット化は世界中にこのような市場を
作り出していくことになるでしょう。そのとき企業はどう動くのかというSFは読んだことないですね。
究極的には労働者は積極的に各グローバル企業の株主となって利益を享受し意見を言っていくしか道はないのではないかと思います。
ロボット化によりメーカー企業の利益分配における株主配当比率は間違いなく増加していき、「企業は株主のもの」ということを
歴史が証明していくことになるのでは。
メイドインチャイナのロボコップなんてねーよと。
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