2011.09.27 (Tue)
アメリカ初の顔面移植患者、コニー・カルプが事件の真相とその後を語る

―Mail Online、西安晩報―
リップライナーで丁寧に口元に紅をひいていく。コニー・カルプにとって口紅を塗ることは、マイルストーンのようなものなのかもしれません。カッとなった夫に撃たれ、上唇、鼻、頬、片目を失った彼女が、2008年、アメリカ初の顔面移植手術を受けるまでは、化粧などとは無縁の生活だったのですから。
現在、オハイオ州で静かに暮らすカルプ(48)が、7年前の事件を語ります。それは先週、彼女を撃った元夫が服役を終えて出所したからでもありました。
「すべてを覚えているのよ。お医者さんは信じられないっていうけどね。夫が銃を上げて私に言った言葉も、そして引き金を引いた瞬間も。忘れられないと思うわ。何もかもが一瞬のうちに変わったんだもの」
カルプは2004年の事件を振り返ってこう語ります。当時、彼女は夫のトムと一緒にホープデイルでバーを経営していました。
「それまで夫が手を上げたことは二度しかなかったの。でも苛められたわね、いま思えばそれが予兆のようなものだったのかもしれないけど、でもやっぱり起こったことについては信じられなかったわ」
事件から手術を挟んで8年、初めてバーに戻ったカルプは、いまでも夫を子供の父親として愛していると言います。


「夫は私が人気があったものだから嫉妬してたのよ。でも人気があるといったって馴染みのお客さんや店の女の子が慕ってたっていうだけ。それが夫には許せなかったのかもしれない。あと、経営がキツかったのよ。もちろん一緒に切り盛りしてたんだけど、ストレスになってのしかかってきたわ。よく夫は家のなかの物に当たっていたわね。私が空手の試合でもらったトロフィーなんかも壊されたわ。
あの晩は何かがポキンと折れたんだと思う。夫と2人でバーにいて夫は怒っていた。そしてショットガンを持ち出して私を撃ったの」
カルプを撃った夫は、自分に銃を向けると銃口を咥え、引き金を引きました。
カルプは事件の後、数ヶ月を病院で過ごしました。スティーブン(30)とアリシア(28)という2人の子供たちが慰めと生きるための気力となりました。
重傷ながらも生きていた夫は収監され、カルプは刑務所に訪問さえしました。
「許そうと心に決めて、事件のことは振り返らないようにしたの。コーヒーを4杯も飲めば震えなんかは止まるのよ」。
しかしその愛が夫に届くことはありませんでした。
「夫はこう言ったの。『おまえのことを告げ口するつもりはない』。だから私も言ってやったわ。『私もあんたのことを撃ったつもりはない』って」。言い回しを真似てジョークで返したら夫は怒ってたわ」
カルプは今年5月に夫のトムと正式に離婚しました。事件の前まで夫と一緒に住んでいた家からも出て行きました。
「夫は自分の家に帰ると思うの。あの家は夫の家族名義だしね。接近禁止命令(restraining order)が出てるけど彼が何をするかはわからないもの。とりあえず静観しようと思ってね」

家族そろって1920年代のギャングに扮した写真。ピアノの上に乗っているのがカルプ。
カルプには子供たちにも悩まされました。
「私をモンスターだって言うの。子供だから考えもなしに言うんだろうけど傷ついたといえば傷ついたわね。でも物事はいい面だけ見ようと思ってやり過ごしたわ」
やがて子供2人に加えて孫まで授かったカルプにひとつの知らせが飛び込んできました。クリーブランド・クリニックにおいて彼女が顔面移植のウェイティングリストに加えられたという内容でした。
顔面移植手術に携わった医師のひとり、チャド・ゴードンはこう語ります。
「問題は顔面を提供してもらえる女性、それも死亡して間もない女性をローカルエリアから捜し出すことでした。年代や血液型が同じでなおかつドナー登録している女性。アメリカではドナー登録している人は少ないので、マッチする女性が見つかる確率はほんの僅かでした」
しかし、2008年12月10日、カルプがウェイティングリストに加えられてちょうど二カ月後に、心臓発作で亡くなり、彼女に顔面を提供できる可能性のある女性が見つかったのです。
急いで来るよう言われたカルプは病院に急行します。医師たちは、移植手術をおこなう前にまず顔面の中央、損傷が激しい部分の組織を刳りぬく作業を手書きの図面と頭部の模型を参照して行いました。
移植されるのはドナーの顔面―両の頬骨、上顎、口蓋、両の眼窩―それに加えてドナーの歯が何本か埋め込まれます。
移植は成功しました。しかしカルプは移植というものが織りなすさまざまな影響に対して今後の人生、彼女もまた闘っていかねばならないことを知っています。
拒否反応が出ていないかのチェック、毎日飲まねばならない薬。加えて視力は左目がぼんやりと見えるだけという不自由さから家事もままなりません。しかし彼女には楽しみができました。スティーブンとアリシア、それに孫のマドックス(4)と静かに過ごす日々です。
また、彼女には大使として臓器移植振興の集会に出席するという仕事も加わりました。
「私のやったことでドナー登録を増やすことが出来、もっとたくさんの人たちが移植手術を受けられることが出来ればそれはそれでいいことだと思うの」
夢はもういちどストローでミルクセーキを飲むことだというカルプはこう言います。
「微笑むってのもまだ私には難しいんだけどね。でも眉をひそめるっていうのは微笑むことよりもっとたくさんの筋肉を動かさなければならないんだって。ならどうして眉をひそめながら歩いている人々がこんなに多いのよ。なんかヘンよね」
その日飲まなければならない薬をすべて飲み終えたカルプはゆっくりと慎重に新しい顔に化粧を施します。そしてバスルームの鏡で自分を映し、じっと眺めます。

嫁はんも歳とったら…
↑このセリフにぐっときた。
それにしても、銃社会・・・こわいですね。
ips細胞の研究が進んでこういう移植問題で苦しむ人が早くいなくなる社会になればいいな。
倫理との戦いだな。
旦那は7年で出所か、、人を殺したわけじゃないから、そんなもんか、、
俺が被害者だったら、7年じゃ、ゆるせないな。
人を憎まず、運命として受け取るような、こんな人ばかりだったら、この世はパラダイスになるんだけど、それは無理ですね。。。
出所したけど、仕事はあるの?
お子さんや孫は元妻の元へ、寂しくない?
元妻は全国で講演を依頼されるほどになった。
自分は?
襲われない?
大丈夫?
カルプさんの笑顔が続きますことを。
本人良ければ良いよ。
顔小さくしてあげてね
筋肉や神経がつながってリハビリのように機能を回復しているのかもしれない。
数年経ったらもっと自然に見えるのかな?
横顔はほとんど普通に見える。
こりゃ顔面移植もっと事例がでるかもね。
短絡的な人がいるなあ
きれいに鼻筋が通ってて…本当によかった。
何よりこの人とても強いね。常人だったらとても夫を許すことはできないだろう。
その強さにも感服。
コーヒー4杯も飲めば、か。格好いいな。
それより気になるのが、ショットガン咥えて自殺しようとした夫。
何で生きてたの?頭吹っ飛ばないの?
彼女よりも夫の顔がどんなふうになってるのか気になる。
大きく開いてる右目の方が見えてるのかと思ったら
右目は失明してるんだね義眼なのかな
すげー
「おまえを告げ口するつもりはない」とか、
夫を心中未遂に走らせる何か深い理由があったように思える。
バー経営だし・・・
>「おまえを告げ口するつもりはない」
夫が心中しようとする何かだから
麻薬売買してたとか犯罪臭プンプン。
元夫を愛しているって言うのも
自分の犯罪への口止めみたいなものじゃないのかなぁ。
なんか美談とは思えないよ。
この女性、犯罪者っぽいし。
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(いや、普通とか言うの、失礼かもしれないけど)
口紅が引けるってうれしいですよね。
よかった。