2011.06.22 (Wed)
面具娃娃―大火で損なわれた顔面にマスクを着けて生活する男児―山西省

―猫撲―
わが子よ、あなたはもうきれいではない。もう健康でもない。人があなたのことをどう見ようと構わないけど、あなたは永遠にママの宝物。
2011年6月10日、普段と変わらない午後、大人たちが野良仕事に精を出し、昼下がりのやさしい日差しが山西省汾陽市米家荘村を包むころ、ひとつの家から子供の悲痛な叫び声が聞こえてきました。
「ママ、20かぞえるまで我慢すればいいの?」泣きじゃくりながら母親の蔚艷君に哀願するのは5歳の湘湘です。
蔚艷君は、必死に哀願する湘湘には構わない振りをして、「1、2、3、4」と数をかぞえながら湘湘の指をひっぱり続けます。指が癒着しないようにするにはこうして毎日の辛いリハビリを欠かすことはできません。

今年28歳の蔚艶君は夫の王寿武と共働き。畑仕事やパートの仕事で生活し、2005年に湘湘が生まれてからはすくすくと成長するわが子に自分たちの将来を重ね合わせて、希望に満ちた毎日を送っていました。
ところが、昨年起こった大火で生活は暗転しました。湘湘は顔にひどいやけどを負い、右目の視力を失い、両手の指は湾曲してしまったのです。
これまでに貯めたお金で医者にかかり、湘湘は命をとりとめました。そしてやむを得ず湘湘の顔にはマスクをかぶせました。
事故から半年は毎日泣き暮らした蔚艶君でしたが、やがて現実と向き合いました。
湘湘にマスクをかぶせるときには、弾性による痛みを忘れさせるために「躲猫猫(いないいないばあ)」をし、悲鳴を上げて痛がる指のリハビリは欠かせません。
「いつか学校に戻れる日が来たら、一生懸命勉強して知識を培って、将来そんな日が本当に来たら、私が年老いてこの世からいなくなったとしてもあの子は自活できるわ」



