HEAVEN

王琳が小婷婷に初めて会ったのは、ちょうどその頃でした。
当時はまだ小婷婷が小さかったことから、手術はできないといった王琳でしたが、ますます殻に閉じこもるようになった小婷婷は見知らぬ人とは話せず、笑顔もまったくといっていいほど見せたことはありませんでした。
心理面での問題が出てくる前に手術をうけさせたい、こう願ったのは父親でした。

王琳は金容培、李鎮鎬の韓国の２人の博士、手足顕微外科の張鐵慧主任とともに手術の工程を探ります。
術前の３次元CTの映像から得られた結論は、滅多にない鼻部の先天性奇形。その内容は、鼻背を構成する鼻骨の発育不良、鼻先を構成する側鼻軟骨、中隔軟骨、大翼軟骨がすべて欠損、現在見えていえる鼻翼は両方とも皮膚組織のみというものでした。
かつて何人もの芸能人の美容形成に携わってきたという韓国の２人の医師、金容培、李鎮鎬は韓国側、40数名の医師に立ち会い診察をおこなわせ、小婷婷の鼻の再建案を提出しました。

31日、４人の医師が行ったのは、小婷婷の肋骨から軟骨組織を切り取り、それを鼻柱とするというもの。皮膚下に埋められた軟骨は上顎骨から立ち上げた針金で固定されます。
手術は５時間。小婷婷の顔には14年来、初めての鼻ができました。

昨日、小婷婷は鏡をのぞき込みながら、王琳に初めての笑顔を見せたといいます。それと同時に回診に訪れた医師たちに対してもいろいろと話をしはじめました。

病症の原因はわかっていません。王琳は特殊なウィルスが軟骨を侵食した可能性もあると語っています。