HEAVEN

―Newsweek―
人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルのリポートによると、北朝鮮の病院はろうそくを明かりとし、薬は患者自身に買いにいかせ、ときには麻酔なしの手術をおこなっていると伝えています。

脱北者40人のインタビューは、長らく誇ってきた無料とされる医療システムが確実に崩壊しつつあることを如実に示しています。

2000年、North Hamgyong Province (咸鏡北道)に住んでいた24歳の男性、Hwangは走行中の列車から落ち、足首を砕きました。医者は麻酔もせずにHwangの足をふくらはぎで切断しました。
「５人の職員に腕と足を押さえつけられました。ものすごい痛みで大声をあげたところまでは覚えてますが、結局気絶してしまったようです。目が覚めたのは一週間後でした」
Hwangは彼と同じように麻酔なしの手術をおこなわれた例を他にも知っているとも述べています。また脱北者たちは異口同音に病院には暖房もなければ電気もなく、医者たちはろうそくの明かりを頼りに診断し、手術するとも述べています。

北朝鮮では国民に対し医療の完全無料をうたってきました。しかし無料の筈の薬は医者からはもらえず、民間のマーケットで手に入れるよう指示されるといいます。こうした現状について、2003年に脱北したSongがアムネスティに答えました。
「北朝鮮では、たとえお金がなくてもみんな病院に行きます。そして診断をうけ、どんな薬が必要かを医者から聞くのです。病院には薬はありません。医者が食うために横流しするのです。マーケットで薬を売買したほうが確実に儲かりますから、マーケットには元医師や元看護婦といった連中がたくさんいます」

アムネスティはまた、1990年代に食糧不足や飢饉などで死亡した北朝鮮国民の数は100万人と想定しています。アムネスティによると、90年代は、政府主導で「１日に２食とろう」というキャンペーンがはられ、木の皮や根、草などを食べることが奨励されたともいいます。1996年の国連報告では、そのような野生の植物が国民の食事のおよそ３割を占めているとされました。

食物の配給はまだ続けられています。しかし不作になればばったりと止まります。2000年から2004年にかけて、政府は危機緩和の目的で、民間の市場を認めました。しかしそれも近年では自耕自給を厳しく締め付け、2008年には、50歳未満の女性の市場での就業禁止を中央からの指令として出すなど混乱に輪をかけています。

39歳の脱北女性、Leeは、1999年代には３人家族への配給量が１日あたり700グラムから450グラムにまで減らされたと述べています。
「１か月の配給量は、トウモロコシが15キロ、米が１キロから２キロでした。収入を得ようとトウモロコシからアルコールを造りました。でもその際に出た「おり」さえ私たちは食べていかねばなりませんでした。苦くてとても口にできたものではありませんが、空腹を充たすためには文句もいえませんでした。皮は飼っていた豚に餌として与えました。もちろん豚は収入をなんとかして増やすために飼いました」

いっぽうで金正日は、世界中から手に入れた洗練の極みを尽くした豪華な食事で、舌もよく肥えていることが知られています。
（画像は金正日御用第一美女といわれる人民軍芸術団舞踏演員、金玉姫）