HEAVEN

―紅網―
こちらは、湖南省郴州市の街頭にあらわれた広告。広告には「重金求子」―子宝を授けてくれれば大金をお支払いします―と記されています。

広告は郴州市桂陽県蔡倫中路の電信柱に貼られていたもので、陳丹という名前の若い女性の写真の下には、昨年夫が事故に遭い、生殖能力を失ったため、莫大な遺産を継がせるために男の子が欲しく、そのために子種を授かりたい、もし子宝が授かれば高額の謝礼を支払うという内容です。

こうした広告は今年になってから中国の各都市で貼られるようになり、次第にその数も増えてきたといいます。そのため最近では信憑性を増すために弁護士事務所の連絡先や公證処（公証人役場）の公證番号を記してある広告も少なくありません。

そこで記者は内情を確かめるため、広告に記されている番号に電話をかけてみました。
電話には女性が出ました。広告に記されているのと同じ、陳丹だと名乗ります。年齢は28歳。身長は165cm。生まれは江西省上饒で、夫は香港で不動産関係の仕事をしているそうです。ところがその夫は昨年交通事故に遭い生殖能力を喪失。話し合った結果、彼女が健康な男性の子種を授かり、莫大な遺産を継ぐべき男の子を産むのがベストで、彼女はその子の母親となることで自分の役割を全うしたいのだと電話口で述べました。
また、相手に求める条件として、健康で遺伝的疾患がなく、このことを誰にも言いふらさないことを要求してきました。

陳丹は電話口でたたみかけるように「クロージング」に入ります。
「もしあなたが、これらの条件に適合して、子種を授けてくれるというなら、私は南昌まで出向き、高級ホテルであなたをお迎えします。もちろんあなたの住む街には伺いません。あなたの私生活にはけして立ち入りません。
報酬は、お会いしたときに手付け金として20万元（約270万円）、妊娠したら50万元（約670万円）お支払いいたします。都合70万元お支払いした後は、あなたとの関係はいっさい断ち切ります」

男なら誰しも心を動かされるような好条件。しかし陳丹は最後にこう付け加えました。「これだけの報酬をお支払いするのですから、ひとつだけご承諾いただくことがあります。それはまちがいのないよう、弁護士を通じ保証金として300元（約4,050円）を振り込んでいただけかなくてはなりません。もちろんそのお金はお会いしたときに全額お返しいたします」

電話を切って確かめた公証番号は存在しないものでした。広告に記されていた番号に再度電話をかけても通じません。やはり『天上掉餡餅（棚からぼた餅）』はないのです。
調べてみると、四川、重慶などでもこうした広告が今年初めごろから貼られ、募集する男性の年齢制限や以来女性の名や写真が異なるバージョンちがいがあるそうですが、大方は似たり寄ったりだということです。