HEAVEN

―重慶晩報―
付き合っている女性の両親に交際を反対されたことに腹をたて、相手の家を爆破した男が懲役10年の刑を言いわたされました。

年齢は30数歳というこの男は、名前を王竜といい、もとは重慶市栄昌県の郊外に住んでいたといいます。
1998年、20代で広東に出てきた王竜ですが、元来内気な性格で、仕事も忙しく、女性と付き合うなどというのは夢のまた夢。しかし、2008年、10年ぶりに広東から故郷に返った王竜は村の娘に恋をしました。

娘の名は徐麗。王竜よりも10歳年下です。夢中になった王竜は結婚を考え、徐麗の両親に会いにいきますが逆に交際を反対されました。仕事といえば出稼ぎで、満足な蓄えもなく、年もちがう王竜に、両親は娘を嫁がせてひもじい思いをさせたくなかったからです。

両親に反対された2人でしたが、王竜と徐麗は近くに部屋を借りて同居し始めました。ところが一緒に住みはじめれば毎日が喧嘩でした。そんな生活に厭気がさして部屋から出、先に新しい彼氏を作ったのは徐麗です。昨年2月、町で徐麗が他の男と手を組んで歩いているのを見かけた王竜は激高しました。

王竜は徐麗を詰りました。依然、徐麗とよりを戻せると信じていたのです。しかし徐麗にとって王竜などとうに過去の男。翌月になって子供を堕ろしたいからと昔のよしみで王竜のところに金の無心に来ました。

「おれの子じゃないのに」王竜は侮辱されたと感じたそうです。そしてこうなったのは、もとはといえばすべてあの時、徐麗の両親に反対されたからだと逆恨みしました。「みんなあいつらが悪いんだ」

王竜はかつて近くの炭鉱で働いていたことがありました。彼は夜になって炭鉱に忍び込むと爆薬を123条、雷管を10数本盗みだしました。持ちだした爆薬の総量は10キロを超えたといいます。

4月1日の深夜2時。王竜は徐麗の両親が住む家にたどり着くと、爆薬を3つに分けてベランダなどに仕掛けました。点火。大音響とともに煙がもうもうと舞って家が崩壊したのを見届けた王竜は、高速を使って四川省に逃げましたが、夜になってあまりに大それたことをしたと反省したのか、それとも目的を果たしたことで糸が切れたのか、その日のうちに公安に自首しています。

故意殺人罪の容疑で裁判にかかれらた王竜は、懲役10年の刑をいいわたされました。
10年と短いのは徐麗の両親が爆破に巻き込まれず、命を落とさなかったからでした。それどころか、これだけ家が崩壊したにもかかわらず、両親は粉々になったガラスでちょっとしたひっかき傷をつくっただけだったそうです。