HEAVEN

―Mail Online―
眠れる森の美女(Sleeping Beauty)―彼女を知る人々は彼女をこう呼びます。
彼女とは、英ワージングに住む15歳の少女、ルイザ・ボール。クライン・レヴィン症候群、Sleeping Beauty Diseaseとしても知られる珍しい病気に罹っているルイザは、いちど眠ると2週間、目を醒ますことはありません。

ルイザが発症したのは2008年10月のことでした。母親のロティ(45歳)はこう述べます。
「一週間ぐらい風邪をひいていたのね。なかなかよくならなくって。後になってそれがスリープモードの始まりだって知ったわ。学校でウトウトしていたらしくて、まるで寝言のように意味のとれないことをしゃべってたっていうの。怖かったわよ。どうすればいいのかわかんなかったし、まるで私たちの知っているルイザじゃないみたい」

ワージング・ジェネラル・ホスピタルを紹介された両親は、翌月ルイザを連れて行きました。しかしルイザを診た小児科医は、何が原因なのか見いだせなかったといいます。その頃のルイザは、一度に10日間眠るようになっていました。
スリーピングモードに入ったルイザは、食事をとらせ、トイレに行かせるためにロティが起こす2時間を除いては、1日に22時間眠り続けるのです。

測量技師を務める父親のリチャード・ボールはこう言います。
「眠りに就くと何にもできないんだ。何日もの間、学校にも行けないしね。でも食事はとらせなきゃいけない、水は飲ませなきゃいけない。ルイザを起こすのは大変なんだけど、なんとかしたよ。起きている最中はまるで夢遊病患者のようだ。ずっとわけのわからないことを言ってるし、家のなかをあちこち歩きまわっている」
1週間、もしくは10日、スリーピングモードから醒めたルイザは、もちろんのことですが眠っていたことなど全く記憶にないそうです。


昨年3月、トゥティングにあるセント・ジョージ・ホスピタルを紹介されたルイザは、そこでクライン・レヴィン症候群と診断されました。この病気は周期的に起こる過眠症のまれなケースで、食欲や睡眠といったものを制御する視床下部の機能不全によるものと考えられてはいますが、原因はまだわかっていません。また女性よりも男性によくみられ、通常では成人になると症状が消えるそうです。

ルイザには14歳になる弟、ロスがいますが、こちらにはまったく症状がみられないといいます。父親のボールは述べます。「それまでは聞いたこともなかったけど、こういうものだと診断されれば安心する。最近では、ルイザがスリーピングモードに入る前にイライラすることで、これから始まるなってことがわかるようになったよ」
ボールは続けます。「昨年。スペインのマラガに家族旅行で行ったんだけど、帰りの飛行機のなかでルイザが眠りはじめたことがあってね、乗客すべてが下りた後、ルイザを運び出して、それから家に着いてからも1週間眠り続けたんだ。あとこれも昨年、1週間トレーラーハウスで旅したんだけど、その休み中、スリーピングモードだったこともあったね。目が醒めるとまっ先に向かうのはビスケットが置いてある戸棚さ。冬眠から醒めたみたいにお腹がペコペコなんだと思うよ」

ともあれ、スリーピングモードに入れば試験がうけられず、単位がとれないことからくる学業の遅れは両親も心配で、現在、対症療法として処方される薬はまったく効かず、新薬のできるのを心待ちにしているルイザなのです。