HEAVEN

―Honolulu Star-Bulletin―
「もう何もしてあげられなかったけれど、赤ちゃんの手をとったらまだ温かくって…」
遺体の第一発見者のひとり、メアリー・スーザン・アーノルドは昨日、幼児の殺人容疑で起訴されたマシュー・ヒガ被告(25歳)の裁判でこう述べると頬を涙で濡らしました。
被告のヒガは、オアフ島を走るフリーウェイ、HIをまたぐ歩道橋の上から、23ヶ月の幼児、サイラス・ベルトを投げ落として殺害したとして罪に問われています。

事件が起こったのは昨年1月17日のこと。HIを西に向かっていたアーノルドは、前を走っていたトラックと乗用車が急に右に寄ったことから、彼女も同じように車を脇に寄せたといいます。
フリーウェイに横たわったベルトの脇を過ぎ、それが幼児だとわかったアーノルドは車を脇に停め、いったん駆け寄って幼児がすでに死亡していることを知ると、毛布をとりに自分の車に向かいました。

アーノルドの2台前を走っていたトラックの運転手、ハンセン・キアハは、上から何かが落ちてきたためあわててハンドルを切ったと証言しています。「赤ちゃんよ、赤ちゃん！」同乗者はこう叫びましたが、キアハは最初人形か何かだと思ったといいます。
「ドスッという音が聞こえ、そのすぐ直後にボンッと何か弾けるような音が聞こえました」彼もまた、車を脇に停め、幼児に駆け寄りました。
検察のピーター・カーライルは陳述の冒頭でキアハの聞いた破裂音は、幼児の頭が弾けた音だと述べました。


現場近くの住人の証言から、幼児を歩道橋から放り投げたのはヒガ(上画像)であることがわかりました。
また幼児は事件の約30分ほど前、イオラニ・アヴェニューの真ん中に1人で立っていたところを、いったんは非番の警官に保護されていました。しかし警官は、そこに現れた幼児の母親と知り合いだという男、シェーン・ミズサワと名乗った男を信用して幼児を引き渡したということです。

幼児、サイラスの死因は、29フィート(約9メートル)の落下により負った多くの打撲傷によるものとホノルル検屍官のゲイル・スズキは述べています。またヒガの弁護人、ランディ・オーヤマは、サイラスは歩道橋から落ちる前にすでに死亡していて、ヒガは殺人罪にはあたらないと述べています。

昨年、ホノルル現地紙により大きく報道された幼児殺害事件は現在、ヤマ場を迎えています。