2009.02.25 (Wed)
妻を見分ける決め手は赤いジャンパー:他人の顔が見分けられない病症―相貌失認(prosopagnosia)
―Mail Online―
イギリスの54歳の男性、バリー・ウェーンライトの最も古い記憶は、言ってみれば村八分、社会から隔絶されたようなものだったかもしれません。
幼児期から十代にかけての屈辱と混乱に充ちたエピソードの数々は彼を、自分は他人とはちがう、人間不信へと至らしめるのに充分でした。
「こんなことがありました。あれは7歳のときです。昼休みにクラスの友だちと話していたんです。お互いの家族や趣味について話し、それからボールを蹴って遊びました。ところが後日、彼が僕のところにやって来て話しはじめたとき、僕は彼のことが誰だか、またどうして僕のことをいろいろ知っているのかわからなかったんです」
「またこんなこともありました。街で女性からいきなり話しかけられました。5分ぐらい話していたんですけど僕にはその女性が母親だということがわからないんです」
バリーはこのことを最初誰にも打ち明けませんでしたが、両親は早くから不審に思っていたようです。自閉症もしくは精神障害の疑いをもたれて精神科医に診せられましたが、IQは高く、結果的に医者もやや性格に問題があるも普通の子と診断せざるを得なかったようです。
学校を終え、結婚し、化学技師の職を得て現在では、下は12歳から上は35歳の7人の子供に恵まれた彼が、自らの病気について知ったのは、3年前のことだといいます。
バリーの病名は「相貌失認(prosopagnosia)」。ひとの顔の見分けがつかないという社会生活を送る上では甚だ厄介な病気です。イギリスだけでも150万人いるというこの病気は、もちろん程度の軽いものからバリーのように先天性にして重度のものまでさまざまで、顔を認知するための情報を脳で処理する際になんらかの要因によって妨げられるのです。
症状としては他人と会話は普通にできますが、数分後にはもう誰と話したのかわかりません。手がかりとなるのは、相手の服、声の抑揚、癖、メガネをかけていたかどうか。相貌失認の患者は会話のなかで必死にこれらの特徴を覚え込もうとするのです。
バリーは学校を終えた後に研究室に閉じこもることによって、できるだけ社会との接触を減らす道を選びました。
「映画を観るとしますよね。それがまた問題なんです。たとえば主人公が次のシーンで服を着替えたら、もう誰だかわからないんですから」
靴、メガネ、相手と話している最中に「デイブは茶色の短靴を履いている―茶色の短靴を履いているからデイブにちがいない」などと相手の特徴を覚え込む煩わしさ。それは妻のマーガレット(現在53歳)と知り合ったときも同じでした。
「19のときに彼女と会ったんです。当時の僕は内気でひとりぼっちで、彼女にしてみれば粗野な人間に見えたかもしれません」
初めてのデートから数週間後、街でばったり出遭ったマーガレットを認識できないバリーに彼女はまごついたといいます。でも陽気なマーガレットはバリーが自分ではどうしようもできないことを知って、すべてを受け入れました。
結婚してからは、マーガレットがバリーの「眼」となりました。街を歩いて向こうから知り合いがやって来ると、彼女はそっとバリーにささやきます。「職場のピーターさんよ」
スーパーに買い物に出かけるときには、マーガレットは常に赤いジャンパーを着るなどし、バリーに見分けがつくようにしました。また子供たちはそれぞれ決められた色の服を着るようにし、バリーはヘアスタイルと併せて認識しました。バリーは自分の顔さえ見分けがつかず、職場の同僚などと写真を撮っても自分を探し出せないこともあるといいます。
そんな彼が自分の病気を知ったのは、出勤途中の車で相貌失認についての話をラジオで聞いたことでした。バリーは思わず「僕のことだ」と叫んだそうです。
1976年に最初の例が報告された相貌失認は、50%もの高い割合で遺伝するといわれてますが、その遺伝子はみつかっていません。またバリーのように子供が7人いても、まったく遺伝しなかったように、そのメカニズムもわかっていません。
「妻には感謝してます。愛すべき家族があり、仕事が安定したものであることも感謝しています」と語るバリーはこう付け加えました。「僕は相手がよく知ってる人かそうでないかにかかわらず、話をするとしたら会うよりも電話を選びます」
外見や会話からでは、健常者扱いされてしまいますから。
ちょっと覚えが悪い奴だなぁ ・・・。
と思われて済まされるかもしれませんね。
イギリスだけで 150万人?
日本にも沢山いるんでしょうかねぇ。
あ、ワタクシ事で恐縮ですが、自分も相手の顔は覚えていても、
名前を忘れがちになってしまいます。
思い出すまで、相手にそれを悟られないよう、かつ、名前を思い起こすような
会話には、冷や汗ものでございます。
おそらくニートやひきこもりの人の何割かはこの病気がもとでそういう状況に陥ったと
思えてきたがどうなんだろう・・・
とはいってもごくごく軽い症状なんですけどね。
自分にとって直接の利害関係にある人間の顔は忘れないのですが
家族の友人とか知人になると殆ど記憶に無いという。
基本他人に関心が無いから覚えようとしないのか???
たまに自分が怖くなる時があります。
軽い認知障害により人の顔を覚えるのが困難な方は結構いるみたいです。
IQには関係なく起こりますから、本人は辛い思いをしているでしょうね。
あ!近くにいる場合は、声を頼りにするらしいですよ(*^_^*)
多すぎだろ。
これって狂牛病の一種なんじゃないの?
そうかもしれないw 写真の顔が幸せそうだ。
多分これは違うと思うよ。
それはどっちって言うと、事故とかが原因で新しい事が覚えられなくて、記憶が僅かな間しか持たないヤツ(前向性健忘症)の方じゃない?
相貌失認は顔の特徴を把握出来ない症状で、記憶障害ではないらしいんで。
脳に「人の顔を見分ける」部位があるわけだ・・・
>興味深い疾患だな
脳に「人の顔を見分ける」部位があるわけだ・・・
その部分が働かないから犬の写真を見て「毛深い人ですね」と言ったりするらしい
話しかけられないと、誰か分からなく、周囲からは「愛想のない子」と思われて、やはり若い時は必然的に内気だったみたいです。
声が一番の頼りのようでした。
番組中でコンピュータ(プログラム)と、人間の脳の比較の話もやってて、
コンピュータは、同じ人が写っている複数の画像を解析・照合する場合、
角度や光の加減やや髪型などが変わるだけで、同一人物であると認識出来る確率は下がってしまうけど、
人間は、「60%の確率であれは○○だ」とか思う事なく、
脳に蓄積された様々な人物情報のデータベースと照合し、一致する人物を瞬時にはじき出して、人を見分けてます。
この点では、人間の脳はスパコンを遥かに上回る性能を持ってる事になり、なかなか感慨深いものがありました。
先天性ではなく事故によるものだったと思います。
全員同じ顔に見えた自分は他人事で無いなぁ。
自分の場合は「顔が覚えにくい、顔と名前を一致させて覚えるのに時間が掛かる、
覚えたつもりでもすぐ忘れる」、て感じで病気ではないけど、
同じ人に何度も名前を尋ねる羽目になったり、
周りが呼び掛けているのを聞いてから声を掛けたり、
声を掛けられても相手の名前が出てこなくて気まずかったり、
地味に面倒。営業とか恐ろしくて絶対出来ない。
一時期会う人全員名札付けてりゃいいのに、って本気で思ってた。
「人に対する認識能力」が低いと、生きていくのに結構不便だ。
私の場合は場所が変るとダメみたいで、
美容部員だったとき、自分の担当するお客さんと店内で会うときは名前がすぐ出てくるのに、
店の前でバッタリ会った時、声をかけられても誰だか分からなかった。。。お得意さんなのに・・・
>すごい素敵な奥さんに出会ったけど、奥さんのどこに惹かれたのかわからない。
すごい素敵なって自分でいってるじゃない。
でも奥さん先に死んでしまったらどうするんだろう
子供たちが面倒みるんだろうか
ただ少し不便になるだけ。
映画で服着替えられると分からなくなる
グラビアやらジャニーズ系やらみんな同じ顔に見える
おかげで美人、ブズとかいう感性はまったくないが、
会社や学校で自己紹介とかされてもさっぱり名前と顔が繋がらない
小さい頃は顔じゃなく服や髪型で人覚えてたなぁ。
よく母親と他所のおばちゃん間違えた。
そんで今では(どんなに似て無くても)有名人で他人の顔を近似して覚えるようにする癖が身についたんだが、
それが大げさすぎるので、上司に「お前の取引先の覚え方は面白いな」と逆に利用されるようになった。
>> 20377
>声とかも覚えられないのか?
電話なら問題ないみたいだから、声は記憶できてるんだろう。
知らない顔と認識してしまうことが余計な混乱を引き起こすのか。
ちょっと話が変わりますが、
以前NHKのドキュメンタリー番組で、生まれて1年未満の赤ちゃんが、
大人には見分けの付かない二匹の猿の顔を見分けてたって
実験結果が出たってのを見たことあるんですよね。
うまく研究が進めば、この病気が早いうちから診断できたりとか
もっともっと進めばこの病気で苦しむ人が暮らしやすい工夫ができるかもしれない…
かなりの年月かかるんだろうなぁ…
無茶苦茶に高度な処理が、脳内で行われてるんすよね。
実際その仕組みを紐解いていくと、
我々にその能力が備わっていることの方が、奇跡のように思えますよ。
交通事故とか、脳卒中とか右脳の損傷で時々いるぞ。
問題なのはDrがあまり問題視しないことだよな・・・。
記憶障害は問題視されるのに、ほかの事はあんまり気にしないんだよ。マスコミも面白がるだけで色物扱いだし・・・。
動物は毛の模様が変わらないもの
動物の方が見分けやすい
大変な障害だけど、いい奥さんに出会えて子供たちにも恵まれて幸せそう。笑顔が素敵な人ですね。
先天的なら、悩んでも仕方がないときっと諦めるしかないんだろうけど、奥さんの顔が見てみたいんだろうな。
一緒に連れ添った大事な奥さんだし、自分なら大事な人だけでもいいから、一目顔を見てみたいと思うかもしれない。
何はともあれ、いつまでもお幸せに。
いつか、こういう障害も正常に顔を識別できるようになったり、そういう技術が開発されるといいですね。
それにはやっぱり、脳の秘密をもっと知らなくちゃならないのか。となると長い時間がかかるんだろうな…。
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かわいそうに。