HEAVEN

―Telegraph―
深い眠りに就いている筈の女性が、PCのキーボードを叩いてメールを送信する―そんな夢中メールともいうべき「zzz-mailing」の初の症例が、睡眠医学のジャーナル「Sleep Medicine」の最新号で紹介されています。

紹介されているのは、トレド大学の研究グループが報告しているもので、44歳女性の例。
彼女は午後10時に就寝、2時間後、目覚めぬままに隣室にあるPCの前まで移動し、メールを送信したとされています。
女性にはメールを送った記憶はありませんでしたが、友人に自宅にワインとキャビアをもって訪れるようメールを送っていました。女性は、朝、友人からの電話でこのことに気がついたのだそうです。
女性は、目が覚めぬままにPCを立ち上げ、ネットにアクセス。3通のメールを送っていました。またアカウントにログオンする時には、ユーザネームとパスワードを自らタイピングしてもいたそうです。

女性が送ったメールは、大文字と小文字が混在していましたが、いずれもある程度文章として成り立ったもの、と研究グループは発表しています。たとえばそのうちの一通は
「Come tomorrow and sort this hell hole out. Dinner and drinks, 4.pm,. Bring wine and caviar only.―明日来て、この悪魔どもを穴から追っ払ってくれないかしら。夕食と飲み物。午後4時。ワインとキャビアだけ持参」
といったもの。

リポートのなかでこの夢遊病の新種は、「zzz-mailing」と名付けられています。

「患者がみせた、コンピュータの電源を投入し、ネットに繋げ、パスワードを想起するという複雑かつ連携のとれた行動は、我々の知るかぎり、今までに報告の例をみません。
女性は自分が送ったというメールを見て、ひどく衝撃をうけていました。彼女には過去に夜驚症(night terrors)や夢遊病(sleepwalking)といった経験はありませんでした」とレポートは続きます。

神経学者にいわせると、彼女のとったこのネットにアクセスしてメールを送信するといった複雑な行動は、夢中歩行のような単純な夢遊病の行動形態とは分けて考える必要があるのだそうです。
彼女はコンピュータを起ち上げ、パスワードを想起し、それを打ち込みました。しかしその行動に関して一切の記憶がありません。一連の行動は、何かの薬によって引き起こされた可能性はあるといいますが、原因はもちろんまだわかっていません。