2008.05.01 (Thu)
娘を24年間にわたって地下室に監禁――解放された子供たちの現在の様子

オーストリアで、父親が24年間にわたって娘を地下室に監禁、7人の子を産ませていた事件ですが、英紙などでは、事件が発覚してから4日になるというのに、あいかわらずトップで続報を掲げています。
そのなかで、サン紙に子供たちの現在の状態が載せられていましたので、こちらにも載せておきましょう。現在までの時点でエリザベスさんら子供たちの画像は公表されていません。
地下室に閉じこめられていた3人の子供、19歳のカースティン、18歳のシュテファン、および5歳のフェリックスはオーストリアの母国語を理解します。これは、地下室にあったテレビと母親のエリザベスさんの教育のたまものかもしれません。
もちろん彼女は、子供たちに、自分がレイプされた末に彼らが生まれたということは話していません。彼らの生い立ちと監禁されている現在の環境を話すことは避け、ひたすらファンタジーを、王子さまとお姫さまの物語や海賊の話を紡いで子供たちに語り続けていたのです。
言葉は理解するものの彼らの発音は独特で、シュテファンとフェリックス、2人だけで意志の疎通をはかるときは、言葉というより舌打ちや唸り声といった言語下のメッセージでやりとりをする姿がみられました。
エリザベスさんは、躾と読み書きとを子供たちに教えていました。子供たちの躾に関しては、父親のフリッツと意見の相違があったようですが、結局は暴力に訴えるフリッツのやり方に従わざるを得ませんでした。
子供たちはテレビで放映されていた連続ドラマの筋をよく知っており、一日の大半はテレビを見続けるといった生活だったことが窺えます。ほかに退屈なときには、母親に教わってボール紙と糊で模型を作っていたりもしていたようです。
食事はエリザベスさんが作りました。冷蔵庫と洗濯機は地下室にもありました。フリッツはここで食事をとることも多く、食事ができるまでの間、子供たちと会話することもあったようです。しかしフリッツが機嫌を損ねればそこには折檻が待っています。子供たちは常に怯えていました。
天井が低いことと、動くことのできる空間が限られていたことから子供たちの足には筋力がなく、医師によれば、どちらかといえば猿の歩き方に近い、二本足と四本足の中間といった方法で移動する方が楽なようです。扉に通じる階段を上がり下りすることが彼らにとって唯一の運動でした。
解放されて病院に搬送されるまでの間、初めて乗った自動車が珍しく、運転手を質問攻めにしていたフェリックスでしたが、牛を見たときには喉をごぼごぼと鳴らし、片手で目の前を払うような身振りを示しました。目の前を手で払う仕草は、どうやら興奮で感情をコントロールできないときの表現のようです。
また月をみたときには、しきりに手を伸ばして掴もうとし、取れないとわかるとしばらく呆然と眺めていたそうです。太陽をみたときには、チューチューと声を発し、手で顔を覆いました。
シュテファンとフェリックスの2人が、これから頭のなかに拵えてしまった世界観をも壊し、現実社会に復帰できるかどうかはわかりません。また病で倒れたいちばん上のカースティンさんは、腎疾患で依然昏睡状態が続いています。歯医者にいけなかったせいか、彼女の歯は19歳にして1本もありません。病院側では、カースティンさんが凌辱をうけた痕跡は見当たらなかったとしています。
母親のエリザベスさんですが、髪はすべて白髪となり、深い皺が顔に刻まれ、42歳の実年齢よりも20歳は老けてみえるということです。

娘を24年間にわたって地下室に監禁、7人の子を産ませていた父親