2007.04.12 (Thu)
乳ガンに漢方医の処方した薬を塗って、おっぱいが破裂

乳ガンを患った女性が、治療を受けるお金がなく、漢方医に処方してもらった民間薬を乳房に塗ったところ、その乳房が破裂するという事故がありました。
女性は、紅河州元陽県に住む陳樹奔さん(33歳)。昨年7月、陳さんは右乳に張りを感じ、小さなしこりを見つけました。しかし当時懐妊したばかりだった彼女は、これを妊娠時の生理のひとつと思いこみ、そのままだましだまし我慢していたそうです。
さて予定日の今年3月20日。村の診療所で出産は無事果たしましたが、とりあげた医者がおどろくほど、左右の乳房の大きさがちがっていました。赤く腫れ上がった右のおっぱいはカチカチに固く、彼女に症状を訊いた医者は、腫瘍ができていることを告げ、乳房を切除する必要があると説きます。これを聞いた陳さんはその場で泣き出しました。
「子供を産んだばかりでお金がみんな出ていっちゃったのに、これ以上どうしろっていうの」
陳樹奔さんの家は極貧家庭で、現地政府からも援助がないこともないのですが、いかんせん診療所にしても農村部。手術をするとしても機材がなく、帝王切開で彼女の子供をとりあげた診療所もそれ以上の治療はできませんでした。
出産後、子供のためにも手術費を捻出しようと誓った陳さんは、まもなく建築現場に職を求め、働きにでます。生んだばかりの子供と顔をあわせる時間もあまりとれずに産後まもない肉体を酷使する陳さんを不憫に思ったのは、村の漢方医でした。うちの薬なら無償でいいからと彼女に手渡した民間薬。陳さんはこれに歓び、さっそくもらった薬を腫れ上がった胸に塗ったそうです。
ところが塗ったそばからおっぱいに熱を感じたという陳さん。翌日になると疼痛が止まず、熱くなった乳房からはぷんと膿んだような臭いが漂います。陳さんはまたしてもこれを薬効と考え、薬を乳房に塗りつけました。
三日目。陳さんの乳房は破裂しました。鮮血とともに大量の膿が飛び散り、猛烈な臭気のなかで爛れた組織が床にこぼれ落ちます。夫が陳さんの胸にさらしを巻いて血はなんとか止まりましたが、痛みでのたうちながら病院には行きません。診察代がないのです。
話を伝え聞いた元陽県の婦人連合会が陳さん宅を訪れました。放っておける状態ではありません。関連部署と連絡をとり、雲南省紅会醫院(中国の赤十字病院)に陳さんを搬送しましたが、乳房が破裂してすでに三日を迎える陳さんの容態は楽観を許さず、切除すれば治ったものの破裂した後では、壊死した組織を取り除きつつ、エックス線照射で殺菌、消炎して転移を防いでいるといった状況だそうです。