2007.02.14 (Wed)
5歳の幼女を強姦、麻袋に詰めて踏み殺した男に無期懲役

5歳の幼女を強姦、事後麻袋をかぶせて踏み殺した男の公判が行われましたが、大方の予想に反して無期懲役の判決が下されました。 理由は決定的な証拠に欠けるため。 事件が起こった湖南省邵陽市城歩苗族自治県では教職員組合を中心に、男を極刑に下すべく、村民らによる署名がおこなわれています。
無惨に殺害されたのは、黎ちゃん(5歳)で、湖南省邵陽市城歩苗族自治県第二中学を定年退職した教師、鄒春寶さん(62歳)の孫娘。 教鞭をとっていた頃は、同僚の教師にも生徒たちにもよく慕われたという鄒春寶さんは、よりによって6月1日の児童節(こどもの日)に人生最大の悲劇を迎えました。
黎さんは当時、学前班(日本でいう幼稚園)に所属。 歌と踊りが好きな快活な女の子で、村の誰からも愛される明るい性格だったそうです。
事件が起こったのは、2005年5月24日の晩のこと。 日が沈む頃になっても家に戻らない黎ちゃんを心配した鄒春寶さんを含む家族は、近所に訊ねまわりましたが、誰も黎ちゃんを見ておらず、警察に通報するとともに大がかりな捜索をはじめました。
ときは田植えのはじまる農繁期にあって南方では暴雨の季節でもあります。 しかし家族にとっては畑仕事より黎ちゃんの行方のほうが重大事。 付近の山々、渓流、ダムなどを捜索した後は、駅や埠頭なども見てまわりなんとか手がかりでもと連日探し求めたそうです。
捜索をはじめて一週間が経過した後、父親の鄒徳成さんは近所の中学の脇を流れる小川のそででブタの飼料がはいっていた麻袋を見つけました。 袋には蠅がたかり、口には蛆がわいています。 ひどい悪臭でしたが、胸騒ぎをおぼえた鄒徳成さんが片手で鼻をおおってもう片方の手で中身をあらためると、どろりと柔らかいものが手に触れたそうです。
もしや娘ではと警察や捜索を手伝っている親戚にも通報。 到着した警官が袋を大きく切ると、現れたのはまさしく黎ちゃんの死体でした。
黎ちゃんは足から麻袋に詰められたようで、丸まっており、上半身はTシャツを着ていましたが下半身は丸裸。 片足には黄色のサンダルをつっかけていましたが、もう片方は袋のなかで落ちてしまったようです。 遺体は不自然に歪み、またかなり腐敗もすすんでいました。 警察では遺体を省都長沙に送り、司法解剖の結果、黎ちゃんは強姦された後に殺害されたものと判明しました。
警察では20数名の捜査本部を設置。 聞き込み調査をはじめたところ、40代半ばの楊遠征なる男が容疑者として浮上しました。 既婚でしたが、楊の妻は広東にてアルバイト中。 それを幸いとしてか、楊自身は夜中でもひとり身の村の女性宅を訪れたりといった乱行が噂となっていたのです。
家宅捜査の結果、黎ちゃんが詰められた麻袋と同じものが楊の家から見つかり、また、黎ちゃんが好んで舐めていたというキャンデーの棒も押収されました。
自供によると、楊は24日の午後4時、ひとりで遊んでいた黎ちゃんを見て欲情。 厭がる黎ちゃんを無理矢理家に連れ帰り、床の上に転がすとズボンを引っぱって脱がせ、力尽くでことに及んだことがわかりました。 もちろんこの間、黎ちゃんはあらん限りの声で泣き叫んだそうですが、楊は顔に布団をかぶせたうえで手で押さえ、近所に音が漏れないようにしたそうです。
ことが終わってぐったりした黎ちゃんにはまだ微かな息がありました。 しかし事件の発覚を怖れた楊は、黎ちゃんを麻袋に詰めたうえで玄関に転がし、革靴を履いた足で頭を中心に何度も何度も踏みつけたといいます。
裁判では楊の故意殺人罪が問われました。 しかし遺体のうえに楊が手を下したとされる決定的な物証はありません。 あるのは状況証拠と楊の供述のみ。 また通り魔的な犯行は、動機にも欠けます。 事件の残忍性に比して無期懲役が言いわたされたのは、そういった背景からですが、もちろん鄒春寶さん、そして家族はこの判決に到底納得がいくものではないようです。